☆07・05






ピアソラの命日は俺の誕生日と同じだと思っていたのだけど、間違えていた。
ピアソラの命日は4日だったみたいだ。

初めてピアソラを聴いたのは19歳の正月か。
一人暮らしを始めた年で、正月も一人アパートで過ごすというのをしてみたときのこと。
ウォッカとCDと本を買ってきて、誰にも邪魔されず一人没頭する時間。
フランス6人組によるコクトーのオペラ、エリック·ドルフィーのFive Spot Live、本はジュネの戯曲アダム·ミロワール。
コテコテに偏った趣味で固めて音楽と文学を楽しんだ。
そしてもう一枚のCDがピアソラのTristezas de un doble A。
これが極めつけだった。




このピアソラのライブ録音には、音楽の奇蹟、音の魔法が凝縮されていた。
ぶったまげた。
それまでにもライヴハウスで灰野敬二さんや割礼というバンドから音の恍惚という洗礼は受けていたのだが、このDoble Aにはあまりにも深い感動があった。

踊りも始める前のこと。


今や、CDも本もレコードもみんな手放してしまったけど、このCDは27年もの間ずっと手元にある。


俺は昔からあまり変わっていないな。
いや、結構変わったか。
いや、むしろ子どもの頃と同じじゃないかとも思う46歳。