初めて観たのはサントリーホールでのショパンのコンサート。
その日の前半はソロでのパート。一曲目のバッハ、フランス5番での弾き出しが忘れられない。
とろとろと美しい音が紡ぎだされる味わいのよさ。
一緒に行った母も感激だったようで、今回もあの感動を思っての三度目のコンサートだった。
ブーニンはしばらく名前もきいていなかった間に壮絶な人生を送っていたそうだ。
肩が動かなくなる病気を患い、足の骨折にも見舞われ、しまいには足を数センチも短くせざるを得ないことになり、そこからのピアニストとしての復活を遂げるまでの時間を俺は知らなかった。
今年で還暦を迎えるブーニンはやはり人気者だ。
今回のコンサートでも日本人は彼をやさしく受け止め大きな歓声を贈っていた。
仕事を早上がりした綾さんと待ち合わせ、所沢のイタリアン L’ardenza へ行った。
最高です。普通はクワトロ4種のところをここはセッテ7種のチーズ。どのピースを取ってもゴルゴンゾーラが入っているからたまらん。
俺は肉も乳製品も食べないけれど、こういう時のピッツアは食う。
店の人と話したら、一年前くらいに来たことを覚えてくれていた。
今回連れてきた母がナポリ好きだと伝えたら、すごい食べていらっしゃいましたね、と。
確かに、85歳にして病気もせずに一人で暮らし、ほんとよく食うよ。最後にドルチェも食べたいってオレンジとリコッタのタルトを頼んでいたよ。しっかり食うから元気なんだね。
綾さんはパンナコッタを。俺はグラッパを一杯飲み、電車に乗って家路についた。
こうして母たちと一緒になるとイタリアンが定番だ。
綾さんのお母さんも一緒に行ったナポリが好きになった。
また四人で行けたら最高だな。いやいや女子3人とのナポリなんて危なっかしくて俺が気を張ることになるのだ。



