3月以来の電車に乗った。
新橋まで絵を見にでかけた。
西脇一弘展。
一年前に知った画家。
ミュージシャンとしては知っていて19の頃にはライブハウスで見ていた人だった。
こんなに絵がいいと思ったことはない。
いつまででもずっと見ていたいと思った。
Aに話したら「今度は買えば?」と言ってくれたから、次の個展を待っていた。
二回ほどチャンスがあったけど行かれず、今回一年ぶりに見に行った。
今日が初日。
朝はヨガ。
昼に終えてすぐに出た。
新橋から歩いて14時到着。客は俺だけ。
新作が並んでいる。
静かに興奮。
西脇氏の絵を前にした時の感情が湧いてくる。
どれもいい。
これはずっと見ていたいと感じさせられるものが一枚あった。
しかし、「絵がいい」って何だ?
名作と呼ばれるものはたくさんあるけど、俺にとっていい絵って何なんだ?
西脇氏の作品は小さめなイラストもたくさんあるが、大きめの作品では人の顔、特に女性の顔が多い。
その顔がタイプだってことなのか?
だったらそれが写真であればその方がいいんじゃないのか?
動画なら尚いいんじゃないのか?
ってそんな野暮なもんじゃない。
その「絵」だからこそ、そこから漂ってくる気配があるのだろう。香りがあるのだ。
それにやられっちまう。
若いころにエゴン・シーレを知った時は素敵だと思った。
絵のモデルを15年もしたから様々な絵を見た。
何か特別のもの感じたのはアンドリュー・ワイエスか。
西脇氏の作品を初めて見たときに、俺の体にワイエスの身体感覚が来た。
少し似ているところはあるのかもしれないが、俺はこの目の前にある西脇絵画の魔法にすっかりやられてしまった。
今日一番心をつかまれた作品は誰かに買われていた。
出会ってすぐに惚れたものを手に入れられない、という何ともいい日だった。
また次回を待って初日に観に行こう。