☆チネイザン・腹もみ②


日本にも古来から腹もみがある。
按腹という。
腹をもんで違和感のあるところは何らかの問題がある可能性があり、そこをもみほぐすことにより違和感をとってゆくというもの。
あちこち腹を押してみると、しこりを感じたり、固かったり、痛みをかんじたりする場所があるもので、そこをもみほぐすことにより徐々に柔らかさが戻ってきたり、違和感が少なくなったりする。

へそ按腹というものもある。
これはへその形で病的な個所をみてゆく。
へそは本来丸いもの。だが、なんらかの理由でへそがどちらかへ引っ張られたようにつれていることがある。
その引っ張られている側の臓器に異常や病的な要素があり、その場所をもみほぐすことにより病変を癒してゆくというもの。または未然に病気を防いでゆくというもの。

へその形なんて気にしたことがないでしょ。自分のへそを見ている人は少ないと思います。
実際に見てみるとこれが案外どちらかの方向へつれているのですよ。
うちでは休みの日に妻に対してマッサージをします。
タイ古式の2時間フルセットで行いますが、お腹マッサージの時にへそを見ます。例えば右側に引っ張られているような感じがあったとします。私が行うのはタイ古式による腹のマッサージですが、お腹全体を丁寧にほぐし、特に右側は丁寧にマッサージしました。すると右へ引っ張られていたへその形が丸に戻るのです。
自分のへそを見てみてください。なんとなくどちらかに引っ張られていませんか?つれている側のお腹を押してみると何らかの違和感やちょっとした痛みがあるものです。だからといって即病気があるというわけではありませんが、悪くなる前に癒してしまえばよいのです。家でもできる未病の健康法です。例えば右側なら肝臓だったりするので、あ、酒の飲みすぎかな、とか生活の仕方のバロメーターにもなります。

陰陽五行という考え方があり、木火土金水という5つの要素で体を見ていきます。
木 肝臓 春 
火 心臓 夏 
土 脾臓 土用
金 肺 秋
水 腎臓 冬

5つの要素は臓器の働きとも関係します。
私は風邪をひいていますが、今は秋なので肺にきたのか咳と洟水が特徴的な風邪でした。
春などは肝のデトックスの季節なので、目に症状が出たこともあります。

東洋医学でいう肝というのは肝臓という臓器そのものを指すのとはちょっと違います。
体は部分部分が独立しているパーツの寄せ集めなのではなく、全体が調和をとって働いています。肝というのは、全体のなかにおけるエネルギー貯蔵や解毒などを行う肝的な働きのことをいいます。腹の右には肝臓がありますが、そのあたりをやさしく押してほぐすことにより、肝の働きを助けたり、修正したりすることができるというのが按腹法です。

さらに五臓は感情とも結びついています。臓器と内臓が関係していると考えるのです。

肝臓 怒り
心臓 喜び
脾臓 思い
肺 悲しみ 憂い
腎臓 恐れ

例えば肝の疲れは怒りを生じたり、腎の影響で恐れを生じたりということです。
さらに、怒ることによって肝を傷つけたり、悲しみ憂うことで肺を痛めたりという具合に、臓器と感情の働きが互いに影響を与え合うということです。
自分やまわりを見てみると思い当たる部分もあるのはでないでしょうか。

前回お伝えしたチネイザンでも、これと同じように内臓と感情が結びついていると考えます。
そして腹をマッサージすることによって内臓にまで働きかけます。
チネイザンでは感情のエネルギーが内臓にたまると考えられます。
チネイザン・氣内臓療法による腹部・内臓マッサージは臓器にたまった感情エネルギーを開放し、人間全体の調和をとってゆきます。
これは面白いです。
私は小さなころからある感情に満たされてしまうことがありました。なんらかのシチュエーショや姿勢により下腹を深く押す状態になると、なんともいえず懐かしいような心持ちにさせられ、ある種の幼児帰り的な気分になるのです。これは今でも起こります。幼児期の無垢な俺、まだ自立せずに世界や親から守られている未熟で純粋な子供のような気持ちになります。これが臓器との関係なのかはわかりませんが、お腹を押すことにより、内側からある感情に満たされるのをリアルに感じます。

チネイザンでは、人の内側にたまっている感情エネルギーを、内臓をマッサージすることにより解放します。
なんとも不思議で魅力的なセラピーだと思います。

私のマッサージでは2時間のうち、腹部のマッサージを丁寧におこないます。
足が痛い人も肩こりの人もみんなに腹マッサージをします。
私はチネイザン・氣内臓療法の手技は身に着けていませんので、タイ古式の腹もみ方法ですが腰や足や背中など体全体が軽くなる効果的なマッサージであることは確かです。