そして大きく世界が動いている。
まったく新しい状況がおとずれるかもしれない。
そんなのはいつ何時だって同じなのだけど。
知らないことを話されるのは面白くない。それはなぜだ。
先日、スパイス料理を食わせる店に行った。
ちょっと前に存在を知り、綾さんを誘ったら乗り気になってくれた。
電車に乗ってでかけた。
建物の入り口には店の看板がないから、知らないと行けない。
一歩入ると店内の様子はゴチャゴチャで、片付けをできない人の家かよって感じ。
接客はいたって簡素でぶっきらぼう。無愛想きわまりない。
しかし、俺は引き込まれたよ。その大胆なスパイスの使い方と料理の美味さに。
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来た 嗅ぐ |
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うわ! |
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うめえ |
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すげえぞこれは 大胆だ |
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うまいね! |
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なんだよこれは ほんとにうまいね |
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俺はゆっくりと噛んで味わった 味わい尽くした わかった これでいいんだ |
たまらんわ。この香り。雰囲気。無音の店内。そこらにあるモノ。客は俺たちだけ。
この店に良さを感じて共感するのは、俺も似たところを持っているからだろうと綾さんは言う。
確かにそうかもしれない。このたたずまいに落ち着きを見出し、この接客に心地よささえおぼえ、このスパイス料理にうなる人は俺の周りにはいないだろうから話さないでよいのかもしれない。
昔に比べてずいぶん外食を楽しめるようになったが、基本が生食であることに加えてヴィーガンだから、いける店は多くはない。カレーが好きだけど、ベジかダルの2択しかない。
この店は、想像を超える料理を提供し、見たことも聞いたこともない味と香りで満足させてくれる。
外食をする時間と金があれば、迷わず行く店ができた。こんな店が存在していて巡りあえたことに幸せを感じるよ。
この店、綾さんは俺と知り合う前から目をつけていた店だった。今はそのことすら忘れていたけれど。
綾さんが昔使っていたパソコンを帰宅後に開いてみたら、移転する前のこの店の情報がブックマークされていた。
ひとつ思い出ができた。