☆推拿のこと④ タイ古式マッサージ

推拿の話をするつもりが内容が広がってしまったので、これまでの俺の整体の話しをシリーズで記事にしておきます。
今回はタイでのマッサージ修行のことを振り返りますので、興味があればお付き合いください。


そしてついにタイへ行き半月間のマッサージ修行が始まった。
タイ古式マッサージはバンコクのワットポー寺院で行われているスタイルと、チェンマイのスタイルに大別されるが、Wandee師は長年チェンマイで活動し、世界中から訪れる生徒にタイマッサージを指導している。
マッサージというもの自体が初めての俺は、10日間のベーシックコースを2週間かけて学ぶつもりでやってきた。
Wandee師を訪ね、挨拶をした。
彼女が提案してきたのは、5日でベーシックをあげろ、その後3日でフリースタイル、2日でセラピーマッサージまで教えるがやらないか?とのこと。
俺は初めてだぞ、そんなにできるのか?と聞いたら、大丈夫だ、やってみろ、とのこと。
わかったやるしかない。無理だろ、不安だ。と同時に、なんってこった、最高じゃないか!の方が高まった。
とか勝手に言っているが俺は英語がほとんど分からないのだよ。


ラッキーだったのはこの雨季の滞在は他に生徒が来ていなかったこと。
世界中から学びに来るようなレジェンドとのマンツーマンでのレッスンだった。
手書きコピーみたいな簡単なテキストを渡され、まずは俺がWandeeの手技を受け、次に俺がやり返すというスタイルのレッスンで進めてゆく。必死だったよ。ドンドン進むのでこなすだけでも大変なのに、それが毎日続いてゆくから、頭がパンパンになってゆく。英語でのレッスンだからほとんど分からないのだけど、それは初めから覚悟はしていたし、ボディフィーリングで掴めるはずだと勝手に決めてやってきた。それは間違えていなかったし自分を信じてよかった。どうやら勘所は悪くなかったようで「お前のマッサージはいい。いままで来た奴で一番うまいぞ、ホントだ」と言われた時は、お世辞であったにしても涙が出るほど嬉しかった。
5日めにベーシックの実技テスト。Wandeeのご主人に対してすべての手技を行う。3時間くらいかかったが無事にベーシックを終えた。

次に日にはスペインから常連のお客さんが訪ねてきた。礁、お前がやってみろとのことで、突然だがお客に対しての本番をさせられた。そんなの無理に決まってるだろ。と思う俺をよそに、テキストをみながらでいいからやってみろとWandee。必死でやった。びくびくせずに習ったことをしていった。
西洋の方は東洋の内的な世界観を好むからか、静かに集中する俺のマッサージが気に入ってくれたようで滞在中に何度も遊びに来てはショウ、ショウといって俺のマッサージを指名してくれた。なんて嬉しいことだ。

Wandeは土日の休みを無しにしてフットマッサージまで覚えて帰れという。毎日定時に終わらないのはもちろん、休みは一日もナシか。初めて来たタイで観光もできないのか。9時から18時くらいまで実習し、晩飯に出て、軽く散歩して帰り、部屋でその日のノートを完成させるのをノルマにした。これを終えるだけで一日が終わり、後は寝るだけ。ホントに遊べない。

一本前の記事で東洋医学についてちょっと書いたが、タイにはタイ伝統医療という世界がある。マッサージ、薬草、瞑想や祈りなどで構成されている。
ある夜にWandeeが青いマンゴーを食べていた。マンゴーといったら黄色く熟れて甘いものだと思っていたが、青いものも食べるのだ。適当に切ってさらに盛り、塩と唐辛子をかけて食う。食べてみると歯触りもよく塩気とチリでなんともウマイ。美味しくてどんどんいただいてしまった。
寝る前に歯を磨いたら歯がしみる。?なんだ?水が妙にしみる。痛い。
このしみ方は、あれだ、果物の酸だ。さっきの青マンゴーだ。まちがいない。
翌朝の歯ブラシの際にもやはりしみた。
Wandeにいってみた。昨日のマンゴーは実にうまかった。しかし歯ブラシがしみたよ。と。
Wandeはピンときたようで、待っていろと言い残し台所に消えた。なにやらドンドン音がし始めた。何かを叩いているようだ。何が始まるのだ?
しばらくするとマグカップを持って戻ってきた。これを口に含んでブクブクしろ。と。
やってみた。塩気のあるお湯で酸味があるが、毒気は感じない。すぐに出さずに何分もブクブクしろと。限界までブクブクをしてみた。
これはマンゴスチンの皮を叩いて塩と水で煮たものだそうだ。これで歯の炎症が治るという。
そのあとすぐに水でうがいをしてみたけれど、まったくしみない。ツーンとくる鋭い痛みが消え去った。
すごい、なんだこれ。Wandeeは私はタイ伝統医療のドクターだぞという。そうだ彼女はマッサージだけではなくタイハーブの使い方にも精通したマイスターなのだった。

世界最古の医療であるインドのアーユルヴェーダがチベットへ渡り、東へ広がったのが東洋医学。
東南アジアのここタイでは、農作業をする人達を中心に疲れた体を癒すマッサーッジ技術が発達し、山で採れるハーブや薬草を使った薬学と食養で健康を支えてきた。
これも東洋医学の一つなのだ。
俺は一本鍼を受けたことから東洋医学に惹かれたのだが、こうして運命によりタイの東洋医学と出会った。
タイ伝統医療の一つであるマッサージ技術を学び、素朴でいながら強力な作用を目の当たりにしたのだった。